偽間男の話等

某日
午前10時からの勤務に遅れそうになる。信号待ち、視線をミラーにやると以前色々とあった、平たく言うと幼馴染というか腐れ縁というか、よくわからないエリアに居る見慣れた男がそこに見えた。後になって電話をしてみる、変わらないトーンとハスキーな声。最後に話したのは一年ほど前だったか、連れ合いが彼を間男と勘違いして私の携帯電話を壊した日以来である。この偽間男と、南方君に対する自分の感情がよくわからずこの日から大分ヘラる。

某日の翌日
少し早めに出勤し、駐車場で一服しながら偽間男の車が過ぎて行くのを見る。彼も気づいていたらしい。通勤のために車は沢山走っている。私にはあれの車だけがはっきりと見える。

25日
約一週間ぶりにまた同じ信号で偽間男と車を並べる。自分の態度を省みて、連れ合いがおかしな勘違いをするのも無理はないかなと思う。自分でもよくわからない。兎に角私と偽間男は簡単な間柄ではないのだ。悔しいのは、まごついているのは私だけで偽間男はいつも、どこでも私以外の誰と居ても飄々としていることだ。
帰路、アパートへ続く交差点の直前で帰ろうかどうか悩み気がついたらもう次の交差点、また次の交差点。自分でも何を埋めたいのか判然としないし、どんな形か等皆目検討もつかぬからどうにもならぬまま一時間あまり放浪。自分の心のぐにゃぐにゃを、放浪で埋めて一時をしのいでいたのが放浪でも埋まらなくなった時、どうしたらいいというのか。たまらなくなって南方君にメールをするも、釣れない。余計に切なくなって、自分に怒りすら沸いてきて、そこからまた一時間放浪。まだ家に着かぬうちからフライング気味に思いついただれ某数人にメールをしてみる。へらりすぎ。まあ簡単に言うと、ドク先生、たすけてください。

25日夜
BF氏とすこしだけ話した後、眼鏡売りさんとラジオ。四時間のうち三時間くらいは溝の底を舐めるような話。ただこれだけは強調したいのだが、へらっていたからそんな話をしていたというわけではなく、眼鏡売りさんと通話が繋がった瞬間からそんなもんはなくなっていたし、お互いそこまで暗い話をしていたという自覚もあまりない。聞いていた誰も楽しくなかったと思うけど。放浪中に大分深いところまで考え事をしたけれど、大体放送中に触れたので割愛。割愛っていうか、今はもうどうでもいい。

27日
勤務先の健康診断にて再検査の必要があったので総合病院へ。内科の受付をやっている男が鬼畜級ドSの鳥肌実だったのでもう私と付き合って下さい。しぬかと思った。