異物の花金


気づいたら、車は出流原、27日、夜。鬱蒼としていて、人気がない、暗い出流原。そういえば、ABちゃんと会うとき、ここを通るのが嫌で高速道路に乗ったんだよ、夜半にひとり通るようなところでは、ないわ。千円くらいの通行料金、痛くないほどに異世界のような、空気の、出流原。抜け出したくて自然速度が上がる。あっという間に小山、それから宇都宮。餃子を食べて帰りたかったけれど、金曜夜の宇都宮駅前はまた違う異世界であって、入って行けなかったわ。車から、降りるのも憚られるほどの、私という異物。げんき、と呼ばれてなんとなくしっくりこないのは、こういう違和感からかもしれぬ。げんきなんかでは、ないよ。ないです。
雀宮を、ふらふら。よく行くけれど、何をしたこともない、見慣れた道。ここへ住んだら、どんなだろうか。想像もできない。いままでそういうことを、してこなかったようにおもう。ただ通り過ぎる道、バックミラーに映っては流れていく町を、ただ見ているだけ。何も考えていない。どこへ行っても、ずうっと異物。馴染むところを、想像すらしない、遠くからじぶんを見ているような、そんな感覚。